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【名作】「ラ・ラ・ランド」大人にならないと共感出来ない物語。ネタバレ感想

© 2016 Summit Entertainment, LLC.

「ラ・ラ・ランド」

原題:La La Land

監督:デミアン・チャゼル

配給:サミット・エンターテイメント

公開年:2016年

上映時間:128分

La La Land – Official Movie Site

意外とベタな恋愛ドラマは嫌いではないです。

お涙頂戴人間ドラマも嫌いではないです。

2016年公開の映画「ラ・ラ・ランド」は、数々の賞を受賞し、第89回アカデミー賞の作品賞にノミネートされた作品です!また、監督であるデミアン・チャゼル氏は監督賞を受賞されました。

この映画は、大人でないと共感できない物語だと思います。大人といっても、何歳というわけでもなく、人生で何度もある「あのとき、ああしていれば…」というたらればをどれだけ経験しているかということです。

きっと、この映画の評価が分かれているのは、どれだけその人が共感出来たかの違いかなと思いました。

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あらすじ

ロサンゼルスのとある朝、高速道路の大渋滞の中でひとりの女性が歌いだし、オープニングが始まる。渋滞中の車内でオーディションのセリフの練習をしていたミアは、後続車のセブにクラクションを鳴らされて悪態をつく。

女優を目指すミアは、ハリウッドのカフェで働きながらオーディションを受けては落ちる日々を過ごしていた。一方、ジャズピアニストのセブは、愛するジャズを奏でる自分の店を開く夢を持つが、現実は思うようにいかない。

二人は偶然出会い、恋に落ち、お互いの大きな夢に向かって奮闘する。そんな中、セブは旧友に誘われて入ったバンドが成功し、忙しくなる。二人の生活はすれ違い、ミアは実家に帰ってしまう。一度夢を諦めたミアだったが、セブの説得もあり、もう一度オーディションを受けることに。最後のチャンスを掴んだミア、そして二人の愛の行方は?

感想 (ネタバレ有)

ミュージカル映画と言いますが、そこまでミュージカルっぽくないです。要所要所で音楽はあります、逆に重要な部分は歌で表現しているので、そこは見どころの一つですね。

初見の感想は、ベタな映画だけどまさかのハッピーエンドではないというところがとても印象的でした。「シックスセンス」のように結末を人に話してはいけない映画だと思います。ベタな恋愛映画が嫌いじゃないだけにもどかしいです。
ハッピーエンドではないと書きましたが、ハッピーエンドの定義もまた悩みますね。「主人公が幸せになる」ことがハッピーエンドであれば、この映画はハッピーエンドなのかもしれません。幸せ、成功、ハッピーエンドというのは一人一人感じ方が違うので、それもまたこの映画の評価が分かれるところなんだと思います。

夢と現実がリアルに表現

ヒロインのミアは、女優になる夢を追いかけるためにオーディションを受けるもなかなか合格することが出来ません。女優だった祖母に憧れて女優を目指す、にしてはあまり努力している描写は見られませんでした。ひたすらオーディションを受けるだけで、レッスンを受けたり、演技の練習を必死にするようなシーンはなく、むしろ友達とパーティーに行って演出家に媚びを売ろうなんて安易な考えですよね。

つまり、女優を目指す夢は本物ですが、そこに至るまでの過程が甘いんです。

彼女は、恋人のセブのアドバイスで一人芝居に挑戦します。観客もほとんどいない劇場、評価も散々、そして、実家に帰ります。今までとは違うことに挑戦してみるも、結局うまくいかなくて夢を諦める。これもあるあるですよね。

しかし、その芝居を見ていた業界の人に見染められ、最後のオーディションのチャンスを掴み、そして、大女優になる。この展開は映画の展開です、よくあるストーリーですが、たった一つのチャンスをものにしたのは、ミアの実力だったのか、運が良かったのか。

人生で数少ないチャンスをものにするのは、運なんだと実感させられましたね。

共感というよりも、実感したという感じです。

セブも同じく、自分のお店を持つという夢を追いかけています。夢の実現のためにはお金が必要なのはわかってはいるものの、社会の組織の中ではやっていけないナルシストの自己承認欲求の強い男です。そんな彼の転機は、旧友に誘われたバンドに嫌々参加したところです。それは、ミアのためでもあり、自分のためではなかったと思います。

バンドが成功し、お金も得ます。代わりに、時間と自分の夢が遠のいていきます。これもあるあるですよね。安定した生活を得るために、自分を押し殺して、社会の中で働くというのは男の人なら頷けるシーンだったのではないでしょうか。

最終的に彼は自分の夢を叶えます。バンドで稼いだお金を元手にお店を作り、なかなか繁盛しているようでした。それでも、お店を維持するために他のピアニストを雇っています。彼の夢は自分のお店を持つことでしたが、本当は「自分の好きな音楽を好きなように楽しみたい」という自分の欲求は満たせていないような気がします。お店の経営をするには、ピアノを弾いているだけではやっていけないのでしょう。

これが、夢と現実なのかなと思いました。

ミアとセブは対照的にみえます。

ミアは「運を味方につけて成功して、満足している」

セブは「努力して成功したが、満足していない」

最後のシーンが特にそう思わせます。ミアは、女優として成功し、セブとは違う人と結婚して、子供を授かります。セブは、自分の店を持つが、現実は厳しい。果たして、二人とも幸せなのか、これがハッピーエンドなのか、どうなんでしょう。

勝ち組ミアがずるい

「あのとき、ああしていれば」

たらればの物語が最後のシーンです。さすがにあの音楽と演出は感動しましたし、涙が止まりませんでしたね。感動的でとても素晴らしかったです。

しかし、仮にミアとセブが結ばれた世界でも、成功しているのはミアだけなんですよね。セブは夢を諦めたということです。何故ミアだけ成功するのか。

やはり、それはミアが運を味方につけたからなんでしょう。セブの努力はなかったことになりますね。旧友の誘いを断り、ミアと共にパリにいき、雇われのピアニストになっています。

ミアだけが「勝ち組」なんてずるい。

でも、それが現実なんでしょうか。運を味方につけたミアだけ成功するなんて、ずるい。素直な感想ですw

大人しか共感出来ない

ここまでの展開を理解できるのは、大人だけなのではないでしょうか。

成功した、夢を叶えた、夢を叶えたけど現実は違った、夢を諦めた、社会の組織が辛い、結婚出来ない、仕事が嫌だ、他人が羨ましい、自分の人生に満足している、いろいろ思うことがあるのが大人です。自分をミアに重ねたり、セブに重ねたりすることで共感出来る部分がある人もない人もいると思います。

二人の夢は壮大でアメリカンドリーム過ぎて、夢にはなかなか共感出来ないというのが正直なところです。それでも、最後の結末を見て、現実って辛いよねという共感を抱くことが出来たのも正直な感想です。

上にも書きましたが、共感というよりも実感なんでしょうか。

この映画は、深いんです。いろいろ妄想が捗ります。人によって感じ方が違うのは、それだけ深い物語なんだと思います。

まとめ

だらだらと思うことを書きましたが、

とりあえず、ライアン・ゴズリングがイケメンであり、演技がとても素敵です!あの絶妙な表情や演技がさらにセブの人の良さを引き立てるんですよね!!!ピアノを弾くシーンは、猛特訓して自分で弾いているというのも素晴らしいです!努力ですよ努力!!

この映画は、カップルで見るよりも一人で家でまったり見て、しんみりしてほしいですね。人と一緒に内容を話すよりも、自分の解釈で受け取ったほうがいいと思います。評価が分かれると思うのでw

ベタな恋愛映画ではなく、大人が見る深い映画であると思います!

私は、大人…なのか?

自分でいうのもあれだけど。