「ドラえもん のび太の宇宙開拓史」
1981年公開、映画ドラえもん第2作目です。
恐竜の次の舞台は宇宙ですと!子供のころ、「開拓史」の意味がわからなかったので「コーヤコーヤ星」と「トカイトカイ星」の意味がわかったのは、けっこうあとでした。
ちなみに、公開当時、私は生まれていません。(恐竜に続き)
2009年にはリメイク版「ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史」が公開されています。
パンフレット
©藤子プロ・小学館・テレビ朝日 1981
当時のパンフレット(ミニ)は、
①ドラえもん指人形(…ちょっとホラー)
②ドラえもんミニミニ絵本(あらすじ絵本)
③ジグソーパズル
④ドラえもんのお面になる表紙
今回も嬉しい付録が盛りだくさんのパンフレットです!
プロデューサー別紙壮一さんのコメントが掲載されています。
藤子先生は、この「のび太」、言い換えれば世の中全ての子に限りない愛情をもって「ドラえもん」を書いているに違いない。
出典:のび太の宇宙開拓史再編集ミニブックレット
一部ですが、2018年の今でもドラえもんが愛されている理由がわかりますね。
あらすじ
遠い宇宙のどこかで少年・ロップルとチャミーは、超空間ワープ中に宇宙船が故障してしまう。ロップル達の夢を見ていたのび太とロップルはテレパシーで引き寄せられ、のび太の部屋の畳とロップルの宇宙船の倉庫の扉が繋がった。
コーヤコーヤ星に行き来できるようなったのび太とドラえもんは、ロップルやチャミー達と楽しく過ごす。
しかし、コーヤコーヤ星にある鉱石「ガルタイト」を狙う大企業ガルタイト鉱業は、コーヤコーヤ星に移住してきた開拓民達を追い出そうと嫌がらせや脅迫を繰り返していた。のび太達はロップルたち開拓民を守るため、スーパーマンとなってガルタイト鉱業に立ち向かう。
感想 (ネタバレ有)
今回は宇宙がテーマということで、難しい言葉が出てくるんのですが、ドラえもんらしく子供にわかりやすい例えが使われています。
Q、ワープって何?
A、星と星の間の空間をすっ飛ばしていくことだよ。(空間歪曲型ワープ)
Q、どうしてのび太の部屋の畳と倉庫のドアが繋がったの?
A、空間が捻じれて繋がってしまった。(どこでもドアが壊れて、開けたら思いもよらない場所に出ちゃった)
Q、重力が小さいとどうなるの?
重力が小さいと動き回るのに大きな力はいらないんだよ。つまり、のび太くんでもスーパーマンってことになるんだ!!(地球上では弱くてダメってことじゃん)
とてもわかりやすいというか、ざっくりと説明してくれます。
大人でも「ワープって何?」って聞かれたら答えられないんじゃないかなと思うのですが、ロップル少年は本当に賢い。
この映画は、他の大長編ドラえもんに比べて、しずか、スネ夫、ジャイアンの3人が登場シーンが少なく、のび太くんがスーパーマンであるということが際立っています。
得意の射撃とあやとりが披露されたのもこの映画が最初です。(原作では、殺し屋ギラーミンとの早撃ち勝負で勝利しています)のび太くんの射撃はホントすごすぎる。
ちなみに、のび太の天才的な射撃の腕前が確立したのは、てんとう虫コミックス「ドラえもん12巻(1976年12月25日初版発行)」に掲載されている「けん銃王コンテスト」というお話だそうです。1976年に確立していたということは、1981年公開当時の子供たちはのび太の腕前を知っていたのかもしれないですねw
宇宙をテーマとした物語ですが、いつも弱くて頼りないのび太がスーパーマンとなって活躍する姿は、今後の映画でも多くみられます。しずか、ジャイアン、スネ夫の登場が少ないのが寂しいところですが、のび太が鼻からスパゲティを食べて、目で南京豆を潰すまで仲直りしないとスネ夫が言い張るので、まあ仕方ないですかね。
個人的に残念なのは、ヒロインであるしずがちゃんとのび太の絡みがないことです。その代わり、ロップルくんの妹のクレムちゃんといい感じになります。でも、クレムちゃんはスーパーマンののび太を慕っているわけで、、、優しいし、あやとり教えてくれるし、強いし、頼りになるのはコーヤコーヤ星にいるときだけなんですよね。残念のび太くん。
主題歌
映画ドラえもんといえば、そう、主題歌です!!!
主題歌です!制作は武田鉄矢さんですよ!!!!
前作「のび太の恐竜」と今作「のび太の宇宙開拓史」のエンディングテーマ「ポケットの中に」の作詞を武田鉄矢さんがされています。映画ドラえもんにおいて、この武田鉄矢さん制作の主題歌がすごく重要なんです。
主題歌「心をゆらして」
作詞 – 武田鉄矢 / 作曲 – 菊池俊輔
歌 – 岩渕まこと(コロムビア・レコード)
最後のロップルくんたちとの別れのシーンで、この歌が流れます。セリフはなく、歌と映像だけですが、とんでもなく感動します。特に、クレムちゃんとの別れは涙なしでは見れません(さっき批判したけども)コーヤコーヤ星の赤と青の雪が舞う中での別れのシーンは、本当に素晴らしいです。
おまけ
私のお気に入りのシーンはこちら
©藤子プロ・小学館・テレビ朝日 1981
映画では、慌ててなかなかほしい道具が出てこないシーンがおなじみとなってますね。
ポケットの中、整理しとけよっ!!!
こちらは、のび太くんのピンチを助けるためにほしい道具を探すのですが、
「戻りライトに脱皮灯、デラックスライトにイメージ灯、月光灯に蛍光灯…」
なんで蛍光灯が出てくるんですかwww
ちなみに、このあとちゃんと見つかりました「スモールライト」を探してましたw
→ 次作はこちら!
コメント
興味深く読ませていただきました。
この映画の特徴は秘密道具を使わずに冒険の舞台に行ったことなんですよね。これって他には無かったかも。
望んだのではなく、突如開けた正真正銘の冒険の世界。
のび太がドラえもんとほぼ二人きりで冒険したのもこれっきりだったはずですよね。
そしてゲストと濃密にガッツリと絡んでおります。
遠いところに旅してきて、かけがえない友に出会えたのび太に感情移入出来るんですよね。
ジャイスネ、しずちゃんも最後の最後にスーパーサブ的な絶妙なタイミングで出てくるのが、またスパイスになっていて秀逸すぎますね。あれぐらいで丁度良いかもしれませんね。
そして、友との交流で大きく成長するのび太がはっきりと描かれております。
「心揺らして」から「ポケットの中に」までの挿入も完璧です。
ポケットの中には、のび太とロップルのかけがえのない日々とマッチングするんですよね。エンディングでもくすぐられます。
君が夢に見たものは何だろう?
ですからね。
最初から最後まで完璧で、個人的にのび太の成長がはっきりと見えたことで、
事実上大長編ドラえもんはこの作品で完結しているのかなと思います。
でもねえ、ちょっと見方を変えると、のび太とドラえもんコーヤコーヤに残ればよかったとも思うんですけどねえ。冒険して、自分が求められている場所を見つけたのだから。
こんにちは!コメントありがとうございます!
>そしてゲストと濃密にガッツリと絡んでおります。
遠いところに旅してきて、かけがえない友に出会えたのび太に感情移入出来るんですよね。
わかります!コーヤコーヤ星の時間では丸一年を過ごしているので、大長編の中でも一番長く過ごしていることになると思います(地球では、365時間?15日程度?w)それだけに、もう二度と会えないラストがまた切ないんです…
>「心揺らして」から「ポケットの中に」までの挿入も完璧です。
ポケットの中には、のび太とロップルのかけがえのない日々とマッチングするんですよね。エンディングでもくすぐられます。
君が夢に見たものは何だろう?
ですからね。
ここの歌詞は本当に素晴らしいですよね。大人になって改めてぐっとくるものがあります。
この物語自体が「夢物語」であったけれども、のび太の成長の一ページであり、思い出の一ページでもあり、本当に夢の世界のような感じが伝わってきます。
よく言う話ですが、本当に「昔のアニメは良く出来てた」なんて言いますが、本当に良く出来てたと思います!!
個人的には、最後のオチはもう少し捻っても良かったんじゃないかなーとw
更新頻度不定期ですが、また読んでいただければ幸いです。
コメントありがとうございました!
コメント感謝致します。
最後のシーンに一捻りは私も同感です。未来での再会を匂わせる台詞があるか、
のび太が別れたくないと別れを惜しむが、ロップル、クレムあたりからの未来へ向けての感謝激励メッセージで、のび太が号泣しながらも立ち直って新しい明日へ歩き出す。
こういったシーンあれば完璧、珠玉の名作だったかもしれません。映画版最終回ですよね。
個人的にこの作品は道徳的な要素に溢れていると思います。のび太は、ヒーロー英雄なりたいなんて最初から思ってなんかいなかった。でも、大切な友との友情を育む過程で結果として英雄になった。英雄というものは、望んで意図してなるものではなく、人との絆を日々を大切に、一生懸命に生きるものが自然に気づかないうちに、なってゆくものなのかも。
色々と考えさせられますね。
ドラえもん、のび太への感情移入度ではこの映画がMAXかもしれませんね。
だからやはり私の中ではここで大長編ドラえもんは完結しています。
最後にこれは私の中での見方に過ぎませんが
「大長編だと頼りになるジャイアン」
は本編とは別人だと思っています。
原作に出てくるジャイアンはかなりエグいですからね、宇宙開拓史後に描かれた本編29巻「機械化機」、39巻「サトリヘルメット」のジャイアンはちょっと恐ろしいです(>_<)。興味あれば一読下さい。だから大長編はパラレルワールドとして私は割りきって見ることにしています。その方がスッキリします‼
長々長文失礼しました。